2013年度より山中湖村では、エコミュージアムの理念に基づく、村民が主体となるまちづくりに向けた地域の資源の発掘・整備・活用などのソフトの取組みと、村の玄関口である3地区交差点を始めとする村の全体デザインや景観の方向性を具体に示すハードの空間デザインについて、一体的に進めていく取組みを行っています。
これらの取組みに際して景観研究室では、山中湖村のヒト、歴史、自然などの地域資源に関する調査・研究と、まちづくりや空間デザインなど実践活動への応用を、地域住民、デザイナー、コンサルタントの方々と協働しながら行う取組みを始めました。
また、2015年度には「たて道」と呼ばれる小径について、小粥・福島・中井(2015)の研究成果、および住民との意見交換を反映し、福島助教と地元会社との協働により「たて道」の1本である村道山中18号の設計が行われ、2016年1月に竣工しました。「たて道」の整備は今後も継続的に進められる予定で、研究によって明らかにされた地区の歴史的な空間構造の再構築、および将来的な回遊性向上への寄与を目指しています。
この取組みの成果は、空間デザインに向けた地域資源に関する情報の収集整理に加えて、まちづくりに向けた住民の機運を高め、村民が主体となるまちづくりに寄与することが期待されます。各年度の研究成果については、まちづくりの実践に向けた知見として共有することを目的とし、村主催の「まちづくり座談会(2013年度)」「村の未来発表会(2014-2018年度)」などの場で学生が住民や関係者に向けて発表しています。
学生によるたて道のイメージパース
学生によるたて道のイメージパース
村の未来発表会(2015.3)
まちづくり座談会(2014.3)
・佐井倭裕/福島秀哉/中井祐
山梨県南都留郡山中湖村長池地区における集落構造に関する考察
景観・デザイン研究講演集 No.11,2015,pp47-52
・小粥慶子/福島秀哉/中井祐
山梨県南都留郡山中湖村山中地区の集落構造に関する考察 -たて道の変容に着目して-
景観・デザイン研究講演集 No.11,2015,pp39-46
・山崎明日香/福島秀哉/中井祐
山中湖村山中地区における集落構造の変容過程-街路網と生業に着目して-
景観・デザイン研究講演集 No.10,2014,pp120-125
・高橋朋子/福島秀哉/中井祐
山中湖村における湖畔景観の形成-土地所有形態と生業に着目して-
景観・デザイン研究講演集 No.10,2014,pp126-131